作家・作品について

UMIYAKI宇美焼（うみやき）とは...

「宇美焼（うみやき）」は、福岡県糟屋郡宇美町で誕生した独自の焼き物であり、この地域の自然環境や歴史、風土と結びついています。宇美町は、応神天皇の御生誕の地として知られ、古代から豊かな自然と人々を育む土地であるとともに、「安産祈願」の地としても知られております。神宮皇后が応神天皇を出産した地と言うことから「産む」という言葉を起源に宇美町（うみまち）という名が付いた地域で、まさに何かを生み出す地として適した地でもあります。

宇美八幡宮を中心とする神社などは伝統行事が地域に深く根ざしています。このような神秘的な背景が、宇美焼のデザインや制作工程に反映され、焼き物に特有の精神性や自然との調和を感じさせる要素を与えていることでしょう。

宇美町の豊かな自然環境は、宇美焼の原材料選びにも重要な影響を与えています。宇美町の水や空気といった自然環境によっても独自の色合いと質感が生まれます。ブロンズ釉を始めとする様々な釉薬は、焼成温度や窯の中の酸素量によって微妙に変化し、ひとつひとつ異なる個性的な作品が完成します。このため、宇美焼は手作りの温かみを持ち、見る者や使う者にその土地の風土を伝えるような特別な魅力を持っています。

また、宇美町は四季の移り変わりがを感じることの出来る「四王寺山」には日本最古の山城跡が存在し、この自然や四季の体感は宇美焼のデザインにも影響を与えています。特に、宇美町の豊かな緑や四王寺山系から流れ込む宇美川の清流はきっと優雅な曲線に反映され、見た目にも心を癒す美しさを持っていることでしょう。

宇美焼のもう一つの特徴は、その実用性です。美しいだけでなく、日常生活での使用を考慮した機能性の高い器や道具も多く制作されています。宇美焼は、茶碗や湯呑、皿などの食器として広く愛用されており、その手触りの良さや使い心地の良さは多くの人々に支持されています。使い込むほどに手に馴染み、風合いが深まることで、日常の中で長く愛用できる焼き物としての魅力が際立っています。

さらに、宇美焼は地域活性化の一環としても注目されています。新しいデザインや技法を取り入れ、現代のライフスタイルに合った作品を次々に生み出しています。こうした努力により、宇美焼は地域外でもその魅力が広まりつつあり、観光客にも人気のアイテムとなっています。工房内では、宇美焼の体験教室や展示会が開催され、訪れる人々に宇美町の文化や伝統を伝える重要な役割を果たしています。

宇美焼は、宇美町の自然、歴史、そして作家たちの手仕事の結晶です。その作品は、見る人、使う人に深い感動と心の安らぎを与え、地域の誇りとして次世代へと受け継がれていくでしょう。